10年以上前、常磐線で最終電車乗って帰宅中のこと。
金曜の終電でとにかくむちゃくちゃ車内が混んでてぎゅうぎゅう詰めのなか、俺の近くに立ってたぐでんぐでんに酔っぱらったオッサンが、周りにいる人を順番に一人一人指差し、
「オカメ」←白塗りのOLに向かって
「タヌキ」←腹の出たオッサンに
「カッパ」←省略
などと、その場であだ名をつけていた。

そこそこ大きい声でうるさかったんだけど、瞬間的に特徴を捉えたあだ名で暴言って程ではなかったので、まあスルーしてた。
俺もあだ名をつけられたけど、特に怒りは感じず寧ろ笑えてきてニヤニヤしてたら、
俺の隣に立ってたサラリーマンの順番になった。彼もまたあだ名をつけられてたけど、そんなことより彼はオヤジが指差したことで頭にきたらしく、俺に「アイツ糸交めませんか？」と耳打ちしてきた。

俺は断ったんだが、彼の怒りはもう止まらないらしく、三河島でオッサンを引きずり下ろして、大声で口論で発車時間まで時間を稼ぎ、発車ベルと同時にオッサンをホームに突飛ばし電車に駆け込んだ。

オッサンがヨタヨタしながら続けて乗ろうとした鼻先でドアが閉まって、無情にも一人オッサンをホームに残し電車は発車した。

あのオッサン、可哀想だったなあ。